ロック国際アニメーション映画祭2008 レポート
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日目(2008.9.21)


・安宿とアメリカ
9時ごろぱっちりと目が覚めて朝ご飯をもらおうと部屋を出ようとするがドアが開かない……でも今回はおばちゃんが早々に助けに来てくれて、またちょっとてこずりつつなんとか脱出。豪華な朝ご飯(写真中央)をもらう。コーヒーをもらいに休憩スペースのようなところにいくとロシア人大家族が占拠。ふつうこういうところはロシア人しか泊まらないので(外国人はホテルで外国人登録しないと罰せられるのですが、ここはそういうのをしないしてくれない安い宿なので)、他の宿泊客に珍妙なものをみる目つきで見られる。とくに子どもは唖然としている。(ロシア滞在中ずっと、いろんな子どもに物珍しそうにみられつづけました。)でも気にしない。インスタントコーヒーにお湯を注いでいるあいだに備え付きのテレビを観るとマドンナが歌っている。ロシアでの初テレビがマドンナ。マドンナとだれか(ラッパー)のコラボの曲。途中で頻繁に銃声が入ってくるアレンジで、しかも途中からほとんど銃声ばっかりになって、アメリカのトップ・プロデューサーは結構とがったことやってるなあと思ったら、単に受信不良の雑音だった。
シャワーを浴びて(当然共用)歯を磨く。無造作に置かれたモップはミッキーマウス柄。アメリカだなあ。ノルシュテインに会えるかもしれないと思い、手紙を書いて時間をつぶす。


開かないドアと散らかった部屋、大変豪華な朝食、ミッキーマウス柄のモップ

12時になって昨夜の送迎の女の子が迎えに来る。他にも映画祭に参加する外国人の方々が泊まっていたらしく、とりあえず会釈だけ。(あとから考えたら、仲良くなった若者たちだった。)クリスティーナとそのお母さんの車に乗って(他のみんなは観光してくるらしい)、船へと向かう。車内で親子の会話がちらちらと聞こえてくるが、「後ろの座席のマーリチクが……」とか言っている。マーリチクは英語で言えばboyにあたるもの。少年扱いですか……

・乗船
船に到着。チェックイン。「英語が話せるロシア人と同じ部屋だから大丈夫よ」と言われる。「大丈夫よ」っていうか、それ以前に、やっぱり相部屋か……部屋に着いて荷物整理。まだ同部屋のロシア人は来ていないのでつかの間の自由を謳歌。寝転がる。


お船、幕、お船のお部屋

異様に眠くて、頭がふらふらする……時差ボケか。寝る。それにしてもスケジュールがわからない。

携帯電話に山村さんから着信が入る。船に着いたとのこと。合流。一安心……近くのカフェでコーヒーをごちそうになりつつ、これまでの経緯を話す。山村さんからはミシェル・オスロが審査員の一人らしいという話をきく。豪華じゃないですか。船に戻ると、外国人(あたりまえだけど)の女の子が山村さんに挨拶しにくる。ホテルで一緒だった子だ。紹介してもらう。広島のコンペにも入ってた"Lovesick"の作者、スペラ・カデツさん。作者は男だと勝手に思い込んでいたのでびっくりしつつ、変な話、作品と似た雰囲気を持った子だったのでなんだか妙に納得してしまう。ニコニコと笑う陽気そうな子。ユーモアのセンスがかなりあるみたい。山村さんとは以前にどこかの映画祭で一緒だったらしい。

夕食の時間。山村さんと二人で座っていると、早速オスロ氏登場。お人形さんみたいなかわいらしい風貌の通訳の方と一緒に夕食をご一緒することに。時差ボケがいよいよひどくなってきたのと、食堂に流れるBGMが大きかったこともあって(オスロさんは顔をしかめていた)、テーブル向こうのオスロさんの言葉がほとんど聞こえず苦戦。山村さんが俺のことを「この土居くんは批評家で今回は僕のワークショップで通訳をしてもらうために来てもらった」とオスロさんに紹介。オスロ氏は目を丸くする。「ティーンエイジャーなのに批評や通訳をしているなんて天才だね!」。もう26歳なんですけどね。広島でアーリッヒさんにインタビューしたときも20歳くらいに思われていたし、高校の友達と会っても「土居ちゃんは変わらないね」って言われるし、にじみだす本質が若いのかな?
悪条件が重なってオスロ氏とのあまり弾まない会話のなかでいちおう、新作の話を質問してみる。3DCGで作品を作るのは金も時間も制作の人数もものすごくかかって疲れるので、この次は影絵の切り絵のしかも短編を準備しているらしい。へえ〜。「日本人は静かで洗練されていて好きだよ」と最後にオスロ氏。あまりしゃべれなかったことを好意的に捉えてくれましたね。


サンクト夜の景色(ロクな写真がなくて申し訳ないです)

夜。バスツアーがあるらしいとの話を山村さんから教えられる。出発前から、サンクトでのバスのナイト・ツアーの話がお知らせされていたので、それかな、と思って張り切って船の外へ出てみると、そこにあるのは10人乗りくらいのバンひとつのみ。なんだかよくわからないまま乗り込んでしまったが、VIP用のナイトツアーだったみたいです。途中で気づいて「俺はここにいていいのか」と自問自答を心の中で始めてしまい、楽しめなくなる。参加者の一人から「こんにちは」と日本語で話しかけられ、びっくりする。黒い帽子にサングラス、そして歯には爪楊枝とあまりに決まりすぎている格好の良い初老の男性で、お話をうかがってみると、昔、サンリオと一緒に仕事をしたり、東映動画で働いていたりした経験のある方だということが判明、一時期練馬区に住んでいたこともあるらしい。「隣の区に住んでいます」とかほんとにどうでもいい返答しかできず、自分が嫌になった。

バスツアーが終わってフロントに行くと、「同部屋の人間はアメリカ人のミュージシャンになった」と言われる。ミュージシャン??? 

部屋に戻ると、どーんとサックスが置いてある。ニック・フェルプスというアメリカ生まれ現在ベルギー在住の音楽家で、アニメーション作品に曲を提供したりしている人であるとのこと。陽気で愉快そうな人だったので少々安心。英語にもなんとかついていける。しかし「君は今も中国に住んでいるの?」と訊かれ、ポカンとしてしまった。意味が分からずしばらくフリーズしたあと、「ああ、中国人だと思われているのだ」と思い当たり、「日本から来たんです」と返答すると、「そうなの? 『同部屋は中国人』ってフロントで言われたんだけどなあ。」フロントめ。チェックインのときに名簿から探しやすいように「日本から来ました」ってわざわざ言ったのに(しかも「言わなくてもわかってるわよ」って返されたのに)……
突如としてニックが「ワーオ」と声をあげたので何事かと思って振り返ってみると、「期間中に俺のワークショップがあるみたいだ!」と目を丸くしている。知らなかったのかよ……適当な映画祭だなあ。 「同部屋で過ごすことに関して欧米流の礼儀はあるのだろうか」などと無駄なことをいろいろ考えてしまい落ち着かない。ASIFAマガジンの締切が今月いっぱいなので、その原稿をやりたかったが、電気を消されてしまった。「いつまで仕事するんだい?」と訊かれ、その質問が真に意味するのが何なのかが掴めず(単に好奇心から質問しているのか、それとも「まぶしいから早く寝ろよ」というサインなのか)、あたふたしてしまって結局寝ることに……すぐに眠れました。2 >


クロック国際アニメーションフェスティバル2008 1日目 < 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >